2004-01-01から1年間の記事一覧

百年前の獏さんさぁ

ゴーヤを植えた、今年の夏は彼らが日陰をつくってくれるだろう。 にがうりを植えたら、獏さんを思い出した、僕が10代の終わりに人生をどう生きようかと、思案していたその頃、ずいぶんお世話になった、その詩から。 那覇はマキシ市場で初めて食べたゴーヤ…

ポケットをたたくと、

発酵させたレーズンエキスに小麦粉を混ぜて、ふたたび発酵させたものを初種、初種に水と小麦粉を混ぜて発酵をくりかえしてパン種ができる。このパン種とパンになる小麦粉の1/3を混ぜてあらかじめ発酵させたものを中種という。この中種に残りの粉を加えて本捏…

Be Happy

夜の道端であまい匂いがするので捜してみると、フェンスからはみだしてジャスミンが白い花を咲かせていた。今日は月も星もぼんやりした夜で、おかげで空気まであまい。 インドでは、この白い花をたくさん集め、細い糸を通してジャスミンの首飾りをつくる、お…

Dance me to the end of love

パンをこねながら、よくものを考える、ひとつの動作を繰り返していると、頭の中がよく見えるから。 今日は、この話しを考えた。 「ある日滞在していたコッサ村のピグミー、ビホンゾ老人とゆっくり話しをした。 ”獲物が捕れない時はどうするんだ” ”捕れるまで…

草はひとりでに生える朝

パンを焼く日が3日つづくと、さすがにつらい。朝から焼きだして、午後3時ぐらいにすべて焼き上がり、そこから発送準備、夕方5時過ぎの集荷のお兄ちゃん、ゆっくりきてね、ってお願いする。ここで、パンの数がちがう、そのパン、ない!となると気分はぺし…

NZ便り

北国にいると思っていた友人が、ニュージーランドから葉書を送ってきた。元気らしい、でも、そんなとこで何してるんだ、君は? その送られてきた絵葉書を5歳の友が見て、”これ書いたん、この人なん?”と絵葉書の写真をまじまじと見つめている。僕の友人にこ…

ネロとヒーニー、それからヨーコ

1972年、北アイルランドの街で友人と歌と詩のテープを録音するためにスタジオに向う途中、市内で多くの爆破騒ぎがあり、「他の人々が苦しんでいるときに歌い始めるという考え自体が、その人々の苦しみに対する犯罪のように思え」歌うことができず、録音をさ…

a cup of tea

今日、ポストを見るとカサカサした封筒があって、開けてみるとお茶とハート畑の絵葉書だった。 パン屋が、あまりにバタバタしているので、まぁ、お茶でも飲みなさいよ、と気遣ってくたのだろう、ありがとう。 お茶を飲む時間をつくるね。 ところでスティニュ…

ジュウヤク

パンの作業場の裏手に庭とは呼べないが、ほんのすこし土のあるスペースがある。そこに毎年、どくだみが生える。 発酵かごの打ち粉を、そこで払ったりするたびに見るどくだみたちは、葉を低くよこに広げつつある。古い葉は、パン屋のおかげで、うっすら粉をか…

kiss

よもぎパン、プレーン80g、 あん入り60gあんこを入れて100g、これ、分割重量。 天板に7個乗せるなら2,3,2の3列、8個なら3,2,3、9個なら3,3,3,だ! 最大9個まで。 互い違いに、等間隔に並べ、整列。 ”いいリズムは美味しいパ…

まかないパン

お昼ごはんにと、黒パンの残り生地をおにぎりのように”むすんで”焼いた。パン屋のまかないパン。 パンは、焼けてからすこし水分が飛んで、味も落ち着いてからの方がおいしいと思う、とくにうちのパンのようなハード系のパンたちは。 まして、サワー種のライ…

A Small, Good Thing

レイモンド カーヴァーの”A Small, Good Thing”という短編を村上春樹は”ささやかだけど役に立つこと”と訳した。 ひとりのおやじがやっているケーキ屋と、予約して引き取られなかった子供のお誕生日ケーキと、その両親との短い話しなんだけど、せつない話し。…

Oh,Shit!!!

今朝、宇宙船のコクピットのようなわがパン工場に入って気がついた。 昨夜、寝る前にしなければいけない一工程を、忘れてそのままにしてる。 なんてこったい! どうしよう、、どうする! 今日の発送分は決まっている、仕込み直すにもここまでくるのに30時間…

work song

チカーナ/チカーノ、 メキシコ系アメリカ人を指すことばだけど、彼らは地理的、社会的、内面的にボーダー、境界線の住人だ。見えざる橋の上に住んでいるようなもの、生きるのに楽なわけはない。そんな彼らの歌に”work song"というのがある。”働く人々は 生活…

みなさまへ

おととい、火星の大気にメタンが存在することが判った、微生物がぷぅ、と吐きだしたかもしれないメタンだよ、そんなことも書いてみたい。 ゴルゴンゾーラの青かびはチーズになって、どうして鏡もちにつく青かびは、ただ、黴くさくなるのか? そしたら、粘菌…

work in the park, play in the marketplace

僕のいちばんの友達に5歳になる男の子がいる。 彼は5歳児らしく乗り物が大好き、休みの日に遊園地に行こうと誘うと、まず、なににのっていくの? と聞いてくる。JRに乗るのか、阪急電車に乗るのか、JRなら快速なのか、新快速なのか、彼はもう、そこか…

Here and Now

あまりに忙しいので、パンの作業テーブルの前に一枚の写真をピンでとめた。 インドでもらった写真、それを見ると、いやその写真に見られると、忙しさのなかであせる気持ちが、ふと、ゆるむ。 いま、ここをだいなしにしてなにやってんだい、そんなにあわてて…

世はサクラ

今日はお花見、 朝から場所もとった、お酒も買った、天気もいい、花もみるみる咲いてきた、 だけど、今日のパン屋さんパンの仕込やらで忙しい、急いでお酒飲んで、急いで花みた。 きれいだ、桜のむこうに青い空、白い月がいた。

スペルト小麦

今日、配達に行ったら、そこの人から”今度この粉でパンを作ってみてください”と1キロの粉を渡された。 新商品のアイデアをくれたのではない、粉を持参してのパン注文だ! さすが神戸、山の手、外国の人はいうことがチガウ。 100年ほど前まで、ヨーロッパの村…

パン屋の匂い

パン工場の匂いというのがある、知っている? どこのパン屋でも、かたづけも終わり、ひっそり人気のなくなった作業場に入っていくと、同じ匂いがする。 ちょっとすえたような、発酵過多で終わってしまったパン生地のような、しなびてほうりだされたリンゴの…

引越し

突然だけど、今日パン屋のサイトを引越しました。 僕のそんなに数奇ではない人生においてさえ、天災により、もとより多くもなかった持ち物を失い、そこから回収した愛する多くの本たちを、関係性という人災により失ってしまった。 いまはかばん三つと言って…

”Pessimism of the intellect, optimism of the will.”

いつになったら、爆弾を人に落とすのをやめるのか? いつになったら、イラクでは、ほんとに人間が死んでいるのだと、気がつくのか? いつになったら、鉄砲のおもちゃで子供たちが遊ぶのは、ばからしいと思うのか? いつになったら、人のもつ攻撃性を武器では…

No reason

おどろいたことに、酵母の元気さは微妙に毎回ちがう、 気温のせい? 水の加減? こねかた? つまるところ、何故だかわからない、自分の気持ちにしたって、わけもなく元気だったり、悲しかったりするのだ、ましてや微細世界の酵母たち、そこには僕のあずかり…

一万年前のセドナ

一万年前というと、最後の氷河期が終わるころ、世界はいまより5〜10度も寒かった。北海道が九州におりてきたぐらいに。 そのころ、いまでいう東アジア、といっても土地の様子はいまとはずいぶん違っていただろう。日本海は湖だったはずで、この湖のほとりに…

夜明けのカフェ・オーレ

屋久島に行った友人からパン屋さんにと、屋久杉のバターナイフとタンカンをみっつ、もらった。 あの島には行ったことがないけれど、奄美大島に行く時に空からみたら、島のひとつひとつに虹がかかっていて、ほんとに真珠の首飾りのようだったな、わすれられな…

ろうそく何本?

きょうは、 いい天気、よし 酵母の発酵、よし 注文あり、よし テーブルの花束、よし どこのケーキ? よし 最終電車、若者の酔ったおお声、よし 夜、沈丁花の香り、よし 生きている、よしよし 今日は、私のお誕生日でした。

キートス!

友人がフィンランドのヘルシンキに出張、というのでパン、パン♪ と言っていたら、ほんとにおみやげに買ってきてくれた。ありがとう、友よ、キートス! 600gの丸いライ麦パン、RUISLIMPPUとラベルにある、調べたらルイスリンプとよむらしい、袋から取り出すや…

わ、わらじぃ

わらじパンと呼ぶものがある。 楕円状に成形したパンが、オーブンでふっくら持ち上がらず、だれてぺったりしたら、わらじパン。これは、いけない。 うちのパン生地は普通のレシピよりかなり柔らかい、つまり水分が多い、当然、水分の多い生地はデリケートで…

阿波シタール

ねころがって、シタールの音を聞いているとゆっくり温泉につかっているよう。 あのビィドロローンと、のびた音がからだにしみて気持ちがいいな、畳の上でざぶとんをまくらに聞く阿波の国のまったりしたシタール。 徳島温泉、アタサの湯です。 友人たちが徳島…

かたちのチカラ

春には新しいパンをひとつ出そうと考えていた。 よもぎのパンはどうだろうと、、、 もう、お雛さまも過ぎて、啓蟄だ、はやくしないとサクラが咲いちゃう。どうして、もっと前もって準備できないのだろう。 でも、いろいろ試作してみたんだ、よもぎを入れすぎ…