ジュウヤク

ameen2004-04-16

パンの作業場の裏手に庭とは呼べないが、ほんのすこし土のあるスペースがある。そこに毎年、どくだみが生える。
発酵かごの打ち粉を、そこで払ったりするたびに見るどくだみたちは、葉を低くよこに広げつつある。古い葉は、パン屋のおかげで、うっすら粉をかぶって迷惑そうだが、あたらしく出てきた葉は、あくの濃い緑をぎらぎらさせている。
数年前、ベトナムバゲットに惹かれて彼の地に行き、そのまま居着いてしまった友を訪ねてサイゴンに行った。サイゴンの若者のようにバイクの後ろに乗せられて、連れて行ったくれた路地裏の食堂は結局何を食べさすとこだったのだろう? おばちゃんが地面に座りながらひたすらフライパンを振っていたのと、包んで食べるようにと青い葉っぱがいろいろ皿にこんもり出てきたが、そのなかにどくだみの葉っぱがあって、すっかりベトナム娘になった我が友は、これがおいしいのよぉ、と言っていたのを夢のように覚えているだけだ。