クリムゾン・ルバーブ

ameen2008-06-04

ルバーブのお菓子を焼いたので、北海道から届いたルバーブの写真をのせておきます。 ルバーブはもともとシベリヤ原産らしく、寒い荒野でしっかり生きて行くぞ、っていう力強い茎と大きな葉をもっていて、大きなものは2mにも成長するそうです。
今回、ameen's ovenでは届いたルバーブセミドライにしています、ルバーブのもっている酸味や風味がぎゅっとつまって、うまくルバーブのらしさがでているかと、思います。
来年はルバーブのパンを、、、ちょっと早いですね。

toniさんのケータリング

ameen2008-05-07

最近パン屋はどうしてるんだい、パンばかり焼いているのかね、音沙汰がないねぇ。
いや、、、たしかにパン焼きの日々だけど、とにかく満開の桜でお酒も飲んだし、アボリジニーのおばさんの絵も見に行った、ちょっと筆不精なだけで、、、そうそう先日toniさんのごはんをパンコウバのみんなと食べたんだ。
toniさんのケータリングは楽しい、夕方パン屋の仕事が終わりかけた頃、toniさんが両手いっぱいにしてごはんを運んで来てくれる。そこからパンコウバの作業台やガスコンロを使って、スープを温めたり、お皿に盛りつけたり、toniさん中心にみんなが手伝うのだけれど、それは手伝うというよりも、その場がもうレストランの厨房のような、開店前のお店のような活気を帯びてくる。toniさんの指示が飛ぶ、オーブンは180℃ね! そのお料理はこのお皿ね、 みんなtoniさんとは初対面だったりするのに、妙に息があっていたりして。
そして、テーブルにお皿が並び、椅子に座ってみんなもお客さんに早変わり。 一粒で二度おいしいtoniさんのケータリングでした。

ひとつ

2年ほど前、広島に行った折に妙な看板が田舎の県道沿いに立っているのを発見、地元の友人に尋ねると、「あぁ、あれはね、その先にあるお寺の住職さんが建てたんだよ、あのお坊さん、ちょっと変ってるから。」 とのこと。  ”いのちは” と大きく墨書きされた看板が空高く県道脇に立っている、通りすぎて振り返ると ”ひとつ”。  夕方、帰りに同じ道を通った、遠くからも見えてくる、今度は ”ひとつ” 振り返ると ”いのちは”。
それ以来、しばらく頭のなかで、 ”いのちはひとつひとつはいのち” とリフレインされてぐるぐるまわっていた。 パンコウバに帰ってからも、酵母がプクプクしてくるのを見ると ”いのちはひとつひとつはいのち” とぶつぶつつぶやいたりして、、、
今夜、酵母たちとともにひとつにとけて行かれるいのちをお見送りいたします、ナマステ。

のりくらに行きました。

ameen2008-01-15

このお正月、のりくらに行ったことを書いておこう。  10年前に働いていたパン屋ル・コパンを訪ねたんだ。 石釜と薪でパンを焼いているル・コパンで、僕は勘で火加減と温度を手で見てパンを焼くことを覚えさせてもらった。 この感覚はいまガスのオーブンを使っていても役立っていると思う、温度計なんかなくてもパンは焼けるぞ、という気概が吹雪の中、ル・コパンの石釜に火を燃やしながら僕の中に育ったのだろう。
1月の3日、寒気の去った乗鞍高原は一面すっぽりと雪にうまっていた。 ほんとうに ”High Winds White Sky 風は舞い、空白く” 雪の世界だった。 バス道からはずれると、もう車道がどこからどこまでかがかあやしくなってくる、 ゆっくりゆっくり車を走らせて10年前の道の記憶を引き出してくる。 そうそう、このカーブはすべりやすい、気をつけて、この坂を加速をつけて一気に上がるべし。 車を止めて、途中のホームセンターで買ってきた長靴をはいて雪の上に降りると、とたんに雪山の静けさに包まれる。 長靴が雪に沈む音も、話している自分の声もバタリと閉めた車のドアの音も、妙にくっきりしている。 音は、すぐその場で切り取られて真っ白な雪の上にペッタリと貼り付けられてしまうようだ。 そして見上げると、乗鞍の山々がそびえている。
ル・コパンで働いていたある日、作業の片づけも早く終わって、僕はパン工房から少し離れた乗鞍の山が正面に見える高台の草の上に座っていた。なんでもない、ただ午後の日差しがうれしかったのだと思う。 しばらくするとル・コパンのオーナーがやって来て、少しのあいだ一緒に山をながめた。 たいした話はしなかったと思う、でもこの人がここに住み、生きていくと決めた気持ちが伝わってきた。  標高1200mで日々暮らすことは、きっと標高8000mの登頂より大変ではないですか? ねぇ、りんげんさん。

2007年おしまい!

おっと、いけないもう今年も終わってしまう。 12月に入ってシュトレン焼きの日々、漬け込んだドライフルーツのラム酒に酔っぱらったように働いていたか、過ぎてしまえばお祭りの後のように寂しい。
今年もたくさん季節毎にパンを焼いたけれど、ameen'soven「今年の印象に残ったパン」はヴィーガン・クロワッサン、からす麦と胚芽のトースト、ロッゲンブロートではないだろうか。
ヴィーガン・クロワッサン」はクロワッサンと名前を付けることに不安があったけれど、パン好きさんはそんな狭い心はしていなかった! バターなクロワッサンのイメージを乗り越え好評をいただいた。 「からす麦と胚芽のトースト」はameen's ovenのパンのなかでは酸味の少ないあっさり目、このパンの登場でameen's ovenのパンの味と食感のヴァリエーションがひとつ広がったと思う。「ロッゲンブロート」はライ麦パンの真骨頂、長くこんなパンをメニューに入れたいと思っていたのです。 「からす麦と胚芽のトースト」は定番メニュー入り、「ロッゲンブロート」は2月頃までの冬の定番パン、「ヴィーガン・クロワッサン」はバターのクロワッサンが終わった5月頃から秋までの夏のクロワッサンとして登場予定です。
パンの基本は粉と水と酵母だけですが、ヴァリエーションは奥深く奥深く広がっています。 2008年もパンとともに歩んでいきます。 どうぞ、よろしくお付き合いを!

雪虫

北海道のお客様から雪虫が飛んで、今にも雪が降ってきそうなくらい、、、とメールをいただいた。 雪虫のことをはじめて知ったのは、10代最後の夏から冬が始るまでの数ヶ月を過ごした阿寒湖畔。 大阪の街育ちの僕には秋の道東の自然はあまりに美しく生まれてはじめて自然は美しく圧倒的な力をもった存在なのだと、知ったのもこのときだった。
夏が終わり、山々が紅葉して、見上げる雌阿寒岳が白くなり、阿寒湖畔のアイヌ部落に密漁の秋鮭を車のトランクに入れて売るにくる者が現れたり、ある夜は村の仲間とひどく酔っ払い顰蹙をかい、日々の夜はだるまストーブの前で干した氷下魚コマイをちぎりちぎりして友と過ごしたりした、僕はそうしてひとつひとつ自分で生きることを学び、子供時代を終えていったように思う。
雪虫が飛んで、雪が降り、雪がつもりつもり、 ”ここでこの冬を越えたら一人前の男になるさぁ” と言われたけれど、僕はその冬を過ごしきれず、一人前の男にはなれなかった。



http://www31.ocn.ne.jp/~mushitachi/essay004.htm
http://web.city.sapporo.jp/feature/photo/0510/05_10_21yukimushi.html