われにかえる

ameen2004-07-19

一日のパンの工程のなかで、どうしても作業がぶつかるところがある。 こちらの生地はもう窯に入れてくれと云い、でもオーブンの中ではあともう少し焼いてくれと云う、あちらではぷりぷり発酵してきたし、もうひとつ仕込みも残っている。ほら、はやくはやくこの成形を終えてしまえ。
なにもその忙しさのピークが過ぎたわけでもないが、ふとオーブンの換気音が止まったりすると、急にあたりが静かになって、いま、目が覚めたように自分が軽くなることがある。
たとえば、それは雪山でざくざくと急な登り坂をあがって行く途中に、ふいに立ち止まると長靴で雪を踏む大きな音がやみ、山はとてもとてもしんとしていて、ハッとすることに似ている。
とてもとても暑いので、そんな乗鞍岳の雪を思い出すのかもしれないな。