よくインドのムンバイの空港に到着する頃は夜中で、街の家々の灯りのかたまりとそれをつなぐ光の道路が美しかった、その光の下にあのひどく人間くさいインドのひとたちが生活していることを思うと、なにかせつないものだった。

サンテグジュペリの「人間の土地」、彼は仕事として郵便飛行機を飛ばしていた。
「それは、星かげのように、平野のそこそこに、ともしびが輝く暗夜だった。
あのともしびの一つ一つは、見わたすかぎり一面の闇の大海原の中にも、なお人間の心という奇蹟が存在することを示していた。あの一軒では、読書したり、思索したり、打ち明け話をしたり、この一軒では、空間の計測を試みたり、(中略)それぞれの糧を求めて、それらのともしびは、山野のあいだに、ぽつりぽつりと光っていた。」