K.T.さんへ

いただいたメールがありがたく何かお返ししたいと思い、なにももつものがないので大好きな山尾三省の詩を贈ります。 この詩は以前にもここに載せたのだけど、僕がパンをどんな風に作りたいかというと、こんなふうになのです。食材がオーガニックであることも、パンの出来不出来も、クラムの気泡の様子も、酵母の酸味も大事なのだけど、それ以前の大事なものがこの詩にはあるように思っています。
パンを焼きながら思っていることは、、、このようなことです。
K.T.さん、そしてメールをいただいているみなさま、不精をしてお返事を差し上げておりませんが、いつも励まされ感謝しています。


「夜明けのカフェ・オーレ」  山尾三省

フランスに行ったことがないから

本物のカフェ・オーレのことは知らない

今晩もとても寒く もうすぐ夜も明けるので

台所に行き

山羊の乳にインスタントコーヒーの粉をふりかけて カフェ・オーレができた

山羊よありがとう

とおもいながら ひとりしみじみと飲んでいたら

眠っているはずの山羊が 山羊小屋で

ひと声 べえー と啼いた