梅が実る

ameen2007-06-11

その梅林は、友人の父が亡くなる前に竹林を開いて植たものだそうだ。きっとまだ苗木から数年しかたっていないだろう、木の背丈は僕を追い抜いたぐらいだ。 三列にならんで20本ほど、誰も世話をする者がいなくなって枝は四方に伸び放題、枯れてしまった木もある。
”あそこは風が通らないからなぁ、だめだろ” と年老いた友人の母はもう決まったように言い放つのです、そんなぁ、、、それでもポツポツと木になった梅を取っていると、宮澤賢治の「虔十公園林」を思い出した。
”あんな処に杉など育つものでもない、底は硬い粘土なんだ、やっぱり馬鹿は馬鹿だとみんな”に云われていたケンジュウさん、 ”虔十もよろこんで杉のこっちにかくれながら口を大きくあいてはあはあ笑いました。 それからはもう毎日毎日子供らが集まりました。 ただ子供らの来ないのは雨の日でした。 その日はまっ白なやわらかな空からあめのさらさらと降る中で虔十がただ一人からだ中ずぶぬれになって林の外に立って”いたケンジュウさん。
この梅を植えたお父さんは、どんな夢を見ていたのだろう、この木からいっぱい梅がとれたら、どうするつもりだったのだろう?
ありがとう、おとうさん。今日は粉袋に半分も梅の実をいただきましたよ。

http://why.kenji.ne.jp/douwa/39kenjuu.html